そのことばかり
明け方の除雪車の音が聞こえてくるまで目を瞑りたくなくてさ。DVDも見終わったし、聞いておきたかったCDも聞いたし、あとはそうだな、除雪車が動き出したら寝ようかなみたいな、そんな感じでさ。どんな感じだよ。除雪車が動き出したところで、安心できるかって言ったらそういうことでもないのになあバカ。逃げりゃしないよ夜からは。迎えるしかないよ朝だけは。そしたら出るしかないよ布団から。歯磨いてシャワー浴びて、頑張るんだよ今日も。うまくいくかどうかはわからないけど、うまくいかなくても大丈夫に繋がったりするんだよ、知ってるもん。そうだ、知ってるのだ。ねえ音楽をさ、音楽をやろうよ。音楽につながるようなことを探しに行こうよ。他に何もやることがないし、やれそうなこともないよ。いやなんていうか、語弊があったらあれなんだけど、でも音楽がやりたいよいつだって。そりゃあ強くなりたいし男に生まれた以上はたくましくかっこよくいたいし。とか言いながら体つきがあれだから、着ている服は女物が多いんだけども。ねえ笑ったらさ、笑ったら絶対いいのにさ。部屋に帰ったらトイレの電気付けっぱなしで散らかっていて、思わずため息出ちゃってさ、そんな時こそ笑えたらいいのになあ。頭も心も散らかってるって認めたくなかっただけでやっぱりボロが出てしまったんだ。ねえ音楽をしたいよ、笑っちゃう音楽を。もう悲しいとか苦しいとかそいうのは極力いいからさ、ねえ。今はいろんなことがあるけどきっとあなたは最強になるから笑っておくれ。その言葉借りて気持ちが溢れて、そのことばかりで涙が零れて、ランチタイムは終了あっという間にきっと今日も日が沈む。飛行機の予定がないと電車には滅多に乗らないけど、この前僕は見たんだ、静かに走る21時の電車をさ。ガタンゴトン、そんな音は一切しなくて、スーって、静かに駅へ向かう電車を見たんだ。あの電車に乗りたい。何駅か通り過ぎたら適当に降りて、そしたらすぐ、引き返すんだ。僕はあの電車に乗ればきっと大丈夫って、乗ってもいない電車に絶大な信頼を寄せた。街は白く、空は紫。僕は時計を見るのをやめた。 嘘みたいだけど、本当の話で、見上げた青空に何が浮かんでいたと思う?