どんな人にも言えること
16日に、専門学校ESPエンタテインメント大阪の卒業制作イベント「DIPLOMA CIRCUIT 2020」に出演した。このイベントは、様々な分野での音楽業界を目指す学生たちが二年間通った専門学校の卒業制作として行われているイベント。学校周辺のライブハウスを使い、様々なアーティストを呼び、全会場でライブが繰り広げられてるもの。 照明も音響も受付も制作も、すべて学生がやる。僕にとって、初年度開催の2013年からずっと大切なイベントだ。 当日、会場入りして11階の楽屋に案内され、エレベーターを出たところに二人の学生さんがいた。挨拶をしたところで、その一人の子が涙を流していたものだから、どうしたの?と聞くと、「目標にしていた動員数、1500人を越えたみたいです」と言った。すごいことだ。用意していた来場者用のリストバンドは、なくなったらしい。 ボイガルは、この二日間開催されたイベントの、最後の出番だった。 ステージに上がり、転換をしたとき、メインの音響をやってくれる男の子が僕のマイクのケーブルをきれいにしてくれた。「多分ぐちゃぐちゃになるから、なんとなくでいいですよ」というと、「いえ、やらせてください。気持ちよくライブしてもらいたいので」と、真っ直ぐな目で笑って僕に伝えてくれた。それだけで泣きそうになった。名前を聞くと、キタダですと教えてくれて。僕とキタダっちは、出会って30分で共にステージを創らなきゃならない。だけど、それだけでもう十分だったな。 僕に何ができたかなと、一週間以上経った今も、ふと考える。 状況は変わる。夢も、目指すところも、きっと変わる。 だけど僕らがいたあの二月の真ん中に、嘘なんてなかったってことだけは、どうか忘れないでいておくれ。 楽しみにしていたこと、 わくわくしていたこと、 不安だったこと、 癒えなかったこと、 言えなかったこと、 積もった雪のせいで冷たくて重くて取り出せなくなったなら春を待とう。 本当は今すぐがいいけど、そうもいかないことだってたくさんある。 目に見えない怪物が、目に見えないスピードで、僕らの標をへし折っていく。 あとほんの少し高くて、ほんの少しだけでも頑丈なものだとよかったけど、そこまでの知恵も力もなくって。今はこれが最大で、みんなには申し訳ないな。でも、例えこのまま平凡な