待っていてほしい
少し前の話になるけど、19日が終わる頃、じいちゃんが96歳で死んだ。
3月の頭に病院に運ばれたとき、既に手の施しようがないほど身体は悪くなっていて、若い人だったらドクターヘリを呼ぶレベルだったらしく、今日明日でもう力尽きるだろうと言われていたらしい。だけどじいちゃんは頑張って、2週間近く生きていた。
だけどじいちゃん、おかあに「もう頑張れない」と言ったらしい。96歳が、もう頑張れないと娘に言ったらしい。かっこいいよ。棺の中のじいちゃんは、しっかりと自分の歯を残していて、最後までかっこよかった。
昨日、3回目の仙台でのライブでした。
初めて来たときは2014年11月、忘れらんねえよというバンドがツアーに呼んでくれてツーマン。2回目は2015年10月、メガロックスというサーキットイベント。そして昨日が3回目だった。仙台に限ったことじゃないけど、地方行ったときに、次に来る日を発表できないってのがすごく悔しい。東京とか大阪は決まるけど、他の街は全然決めれなくて、約束ができない。そんな自分が悔しい。
場所がどうとか、お金がどうとか、スケジュールがどうとか、そんなん、越えれるのに。悔しい。だけどそれでも来てくれる人がいて、だったらその人の前で、その瞬間その人だけが知る僕で歌うしかないから、昨日もそう、精一杯歌いました。
開場してからフロアの一番後ろにいたんだけど、とあるお母さんと娘さんが入ってきて。
お母さんの方が僕を見つけて、すごく動揺していた。「え…あっ……普通にこんなところにいるんですか…?」と。もちろん、いますよ。握手をしてください、写真撮ってください、と言うから握手して写真撮った。お母さんは、「あの…娘がすごく好きで、下北沢のライブとかも行っていたみたいで」と、なかなか落ち着かない口調のまま話してくれた。ただ、一緒に来ていた娘さんの話では無いようだった。このコのお姉さんか妹さんのことかな?と思った。「本当に娘の支えになってたみたいで…」と言っていた。僕は少しだけ、どういう意味だろうとなっていたけど、そのお母さんは何かを僕に一生懸命伝えようとしていたし、僕はとにかく一生懸命聞きたかったから、聞いた。するとお母さんは物販にいってタオルを買いに行った。僕もライブの準備をしなきゃと思い、サバンナマンを半分見て、楽屋に戻った。
ライブはとにかく、とにかく、今僕が感じてることを精一杯乗せて、40分を駆け抜けようと思い、そんな感じだった。頑張ってもいいし、頑張らなくたって、頑張れなくたっていいけど、とにかく今僕ら生きてますねってことだけは何故か証明したかったし残したかった。じいちゃんのことがあったからかな。なんでだろ。
ライブが終わって、外に出た。
すると、さっきのお母さんが出てきた。
「こうやって話せるなんて思っていなかったけれど、今日は本当はお礼を言いにきたんです」と僕に言った。
それは、開場時に話してくれたことの続きだった。
「娘の登別にいるお友達から手紙がきて、その手紙で、娘がTHE BOYS&GIRLSというバンドがとても好きで下北沢のライブに足を運んだり、CD聴いて元気を貰ったり背中を押してもらったりしていたということを知りました。本当にどうもありがとうございます。それから私もボイガルさんを聞くようになりました。今は私が背中を押してもらってます。歌詞が深く、心にズシンと来ます。娘が好きだった音楽を、母親の私が今は好きになって背中を押してもらっています。今日は、その娘の妹にチケットを取ってもらって、一緒に来ました。本当にありがとう。本当にありがとう。」と僕に言う。
僕らのことを好きでライブに来てくれたり僕と写真を撮ったりCDをたくさん聴いてくれたり僕らの話をする時はすごくキラキラしていたというその娘さんは、去年、亡くなったらしい。
「今日のライブを見て、娘が好きな理由がわかりました」と言ってくれた。
「売れたいとかテレビに出たいとかも思うかもしれないけど、それも大事なことだと思うけど、でも今のあなたの人間味のままで歌を歌っていってほしいです」というようなことを言ってくれた。
亡くなったその娘の名前も聞いていないし写真も見せてもらったわけじゃないから、思い出すことができない。でも確かに、その娘にとって僕の書いた歌が、生きていた中で大切なもののひとつになっていたんだなと思うと、涙が出そうになる。僕は泣かないけど、涙が出そうになる。
お母さんは最後に笑って「お米送りたい!お米。どこに送ったらいいですか?」という。笑っちゃった。「お気持ちだけありがたくいただきますね。」と僕も笑って返した。階段の上で妹が待っている。階段をのぼるお母さんに、また来ますと僕は言って、階段の上にいる妹に手を振った。妹も、僕に手を振ってくれた。
こうやってまたひとつ、僕は誰かに救われる。生かされる。歌を歌う理由のひとつになる。明日へのきっかけになる。夢がひとつ膨らむ。歌詞が一行進む。
仙台を出てバスに乗っている。窓の外の景色は変わってゆく。午前中、少し雪が降っていた。冬が終わる。春が来る。
明日から東京3本。
それぞれの物語がある中で、それでも僕は僕の歌を歌うしかないし、それしかできない。そしてきっと、それが一番いい。
いつか僕にもその時が来て、そこまで行けたら、昔の曲から新曲まで、たくさん聴かせてあげたい。
その時が来るまで、待っていてほしい。
3月の頭に病院に運ばれたとき、既に手の施しようがないほど身体は悪くなっていて、若い人だったらドクターヘリを呼ぶレベルだったらしく、今日明日でもう力尽きるだろうと言われていたらしい。だけどじいちゃんは頑張って、2週間近く生きていた。
だけどじいちゃん、おかあに「もう頑張れない」と言ったらしい。96歳が、もう頑張れないと娘に言ったらしい。かっこいいよ。棺の中のじいちゃんは、しっかりと自分の歯を残していて、最後までかっこよかった。
昨日、3回目の仙台でのライブでした。
初めて来たときは2014年11月、忘れらんねえよというバンドがツアーに呼んでくれてツーマン。2回目は2015年10月、メガロックスというサーキットイベント。そして昨日が3回目だった。仙台に限ったことじゃないけど、地方行ったときに、次に来る日を発表できないってのがすごく悔しい。東京とか大阪は決まるけど、他の街は全然決めれなくて、約束ができない。そんな自分が悔しい。
場所がどうとか、お金がどうとか、スケジュールがどうとか、そんなん、越えれるのに。悔しい。だけどそれでも来てくれる人がいて、だったらその人の前で、その瞬間その人だけが知る僕で歌うしかないから、昨日もそう、精一杯歌いました。
開場してからフロアの一番後ろにいたんだけど、とあるお母さんと娘さんが入ってきて。
お母さんの方が僕を見つけて、すごく動揺していた。「え…あっ……普通にこんなところにいるんですか…?」と。もちろん、いますよ。握手をしてください、写真撮ってください、と言うから握手して写真撮った。お母さんは、「あの…娘がすごく好きで、下北沢のライブとかも行っていたみたいで」と、なかなか落ち着かない口調のまま話してくれた。ただ、一緒に来ていた娘さんの話では無いようだった。このコのお姉さんか妹さんのことかな?と思った。「本当に娘の支えになってたみたいで…」と言っていた。僕は少しだけ、どういう意味だろうとなっていたけど、そのお母さんは何かを僕に一生懸命伝えようとしていたし、僕はとにかく一生懸命聞きたかったから、聞いた。するとお母さんは物販にいってタオルを買いに行った。僕もライブの準備をしなきゃと思い、サバンナマンを半分見て、楽屋に戻った。
ライブはとにかく、とにかく、今僕が感じてることを精一杯乗せて、40分を駆け抜けようと思い、そんな感じだった。頑張ってもいいし、頑張らなくたって、頑張れなくたっていいけど、とにかく今僕ら生きてますねってことだけは何故か証明したかったし残したかった。じいちゃんのことがあったからかな。なんでだろ。
ライブが終わって、外に出た。
すると、さっきのお母さんが出てきた。
「こうやって話せるなんて思っていなかったけれど、今日は本当はお礼を言いにきたんです」と僕に言った。
それは、開場時に話してくれたことの続きだった。
「娘の登別にいるお友達から手紙がきて、その手紙で、娘がTHE BOYS&GIRLSというバンドがとても好きで下北沢のライブに足を運んだり、CD聴いて元気を貰ったり背中を押してもらったりしていたということを知りました。本当にどうもありがとうございます。それから私もボイガルさんを聞くようになりました。今は私が背中を押してもらってます。歌詞が深く、心にズシンと来ます。娘が好きだった音楽を、母親の私が今は好きになって背中を押してもらっています。今日は、その娘の妹にチケットを取ってもらって、一緒に来ました。本当にありがとう。本当にありがとう。」と僕に言う。
僕らのことを好きでライブに来てくれたり僕と写真を撮ったりCDをたくさん聴いてくれたり僕らの話をする時はすごくキラキラしていたというその娘さんは、去年、亡くなったらしい。
「今日のライブを見て、娘が好きな理由がわかりました」と言ってくれた。
「売れたいとかテレビに出たいとかも思うかもしれないけど、それも大事なことだと思うけど、でも今のあなたの人間味のままで歌を歌っていってほしいです」というようなことを言ってくれた。
亡くなったその娘の名前も聞いていないし写真も見せてもらったわけじゃないから、思い出すことができない。でも確かに、その娘にとって僕の書いた歌が、生きていた中で大切なもののひとつになっていたんだなと思うと、涙が出そうになる。僕は泣かないけど、涙が出そうになる。
お母さんは最後に笑って「お米送りたい!お米。どこに送ったらいいですか?」という。笑っちゃった。「お気持ちだけありがたくいただきますね。」と僕も笑って返した。階段の上で妹が待っている。階段をのぼるお母さんに、また来ますと僕は言って、階段の上にいる妹に手を振った。妹も、僕に手を振ってくれた。
こうやってまたひとつ、僕は誰かに救われる。生かされる。歌を歌う理由のひとつになる。明日へのきっかけになる。夢がひとつ膨らむ。歌詞が一行進む。
仙台を出てバスに乗っている。窓の外の景色は変わってゆく。午前中、少し雪が降っていた。冬が終わる。春が来る。
明日から東京3本。
それぞれの物語がある中で、それでも僕は僕の歌を歌うしかないし、それしかできない。そしてきっと、それが一番いい。
いつか僕にもその時が来て、そこまで行けたら、昔の曲から新曲まで、たくさん聴かせてあげたい。
その時が来るまで、待っていてほしい。
「ボイガルの曲で元気もらってます!」っていう言葉だけだと自分が本当に思っている熱量まで伝わらないような気がしていたんですけど、今回のブログを読んでお客さん側の気持ちが演奏者側であるシンゴさんにも伝わっていることを知って嬉しくもなりました!
返信削除今回の娘さんやお母様のようにボイガルに救われてるひとって本当にたくさんいると思うんです!これからも歌い続けてください!
nさん→
削除僕にもわかる言葉だし、もちろん伝わりますよ。すべてを理解したりはできていないかもだけど、僕は僕なりに感じ取っているし、感じ取ろうともしています。こうやってコメントだったりとか。直接話せればいいのかもだけどそれはすべては無理だし、だからこういうツールだとしても、一生懸命読み取って感じています。ありがとう。
涙が止まらない。
返信削除こうやって音楽に歌に背中押してもらえるのが幸せなんだなって思いました。
ボイガルの色んな曲を聴きたいです。
その時を待ってます。
iuuさん→
削除色んな曲あるからこれからじっくり聴いてもらえたらいいな。待っていてください。
シンゴさんは多くの人の背中を
返信削除押しているじゃないですか��
1つ前の投稿で書いていたことですが。
もちろん私もそのうちの1人です。
これからもたくさんの出会いがあって
さらにシンゴさんの言葉が拡がって
いけばいいなと思っています。
さゆさん→
削除ありがとうございます。きっとこれからもたくさんの物語だったり瞬間だったりが訪れるんだと思います。楽しみ。
こんばんは 本当に 一人一人に ドラマがあるんですね 娘さんも ボイガルの歌に励まされ 元気をもらえていたんだと思います 人間味あふれる そのままの THE BOYS&GIRLS で これからも 沢山の人に 素敵な歌を届けてください!!
返信削除釧路 もうすぐですね めっちゃ楽しみです!! 同僚3人巻き添えにして 行きますwww
YUKI とんぼさん→
削除頑張ります。釧路久しぶりです、競演のバンド達も最高なので、すごい一日になりそうです。
シンゴくんが話したお母様を想像して目頭が熱くなりました。
返信削除娘さん、空の上からボイガルのこと見守っていてくれてますね。きっと。
ぽそみさん→
削除空から見守っていてほしいなんて、そんなわがまま僕は言わないけど、だけど僕は、下からいつだって空を気にしていたいなと思います。
ボイガルを観に来ている方たちとの話の内容をこうやってシンゴさんがブログに書いているのを読むと、やっぱり一人一人の物語があるんだなあと実感します。私もシンゴさんの素敵な言葉たちに出会えて本当に良かったです。
返信削除まなさん→
削除ここに書いてるのは本当に一部で、例えば昨日だってもっと色んなストーリーがありました。毎回そう。誰のストーリーが一番とかでもないし。ただ、残したいものだったり、画面の中の文字でもいいから見せたいことだったりはやっぱりあるから、少しでも伝えたくなります。これからもたくさん、話していきたいだす。
すごく胸に響きました。
返信削除誰かに影響を与えることができて、誰かの支えになることができるってすごいことだなぁと思います。
そうしたいって思ってする訳じゃないけど、自分のやりたいことで誰かの人生に少し関わることができるっていいなと思います。
私もそんな人になりたいなぁ。
29日のまちぶせツーマン行きます!!
しんごさんの歌声、楽しみにしています。
さきさん→
削除そうですね、重要なことしてるなあと思います。29日僕もとても楽しみ、いい夜にします。
いま、変な時間に目が覚めちゃって、ソワソワして眠れなくて…
返信削除シンゴさんの言葉を噛み締めに行こうと、ここにきて、このブログ読みました。
人との出会いは、良いことも悪いこともあるけれど、それを糧にできるかどうかは自分次第だなって、思いました。
人生、良いことばかりじゃないけれど、悪いことばかりでもない。
4月から、また新しいスタートで、不安でいっぱいだったけど、今、楽しもうって思いました。ありがとう!
5月には、広島で待ってます!早く、声が聞きたい!!
あやどん@広島さん→
削除5月待っててください、僕は僕で一生懸命やります。