鹿の散歩

ずいぶん経ってしまったけども、7月15日のことを思い出しながら。


JOIN ALIVE、今年は出演できず。俺はアコギを持って二日目、レンタカーで向かった。ホームページにもタイムテーブルにも存在しない「鹿ステージ」をやりに。だんだんと雨が強くなっていく中、下道が続く。会場に着いて駐車場に入ると、田んぼのようになっていた。

今年の鹿ステージは心強い味方が一人いた。会場の隅っこにある「オルタナティブガーデン」というエリアを仕切っている吉武さんという人だ。俺は特別に許可を頂き13日に設営中の会場に向かい、オルタナティブガーデンにいる吉武さんに会いに行った。そこで15日のタイムテーブルなどを確認して、いろんな時間とかを考慮してすり合わせて、鹿ステージをオルタナティブガーデンで敢行することになった。もはや、鹿ステージなんだかオルタナティブガーデンなんだかって感じだが、「鹿ステージもオルタナティブガーデンも、どちらも決して壊すことなく」という共通認識が俺と吉武さんの中であったので、怖いものなしだった。時間は夕方からを予定した。

15日当日、会場について鹿ステージの予定時刻まで時間があったから、-KARMA-のライブを見た。札幌の高校生、秋のツアーにも出てくれる。楽しみだった。登場SEと同時にスコール、あいつらはニコニコしながらオンステージ、ばかやろう。そのままスコールは30分止まず、ライブ終了とともに止んだ。ちなみにその日、それ以降雨が降ることはなかった。人はこれを、「カルマの悲劇」と呼ぶ。何もかもベシャベシャになったため、一度車に戻りエアコンをマックスにして熱風で乾かしてると、レンタカーのバッテリーがどうやら上がってしまったらしく、救援を呼んだ。俺はこれを「カルマの悲劇」と呼ぶ。
車も無事に直り、一瞬の隙を見てベルベットサーカス横で鹿ステージを開催。もちろんしっかりとイベント運営チームとやり取りをして決定。ベルベット横が、鹿ステージの生まれた場所だ。鹿を見つけてベルベット横に連れて行き、数曲。




夕方になり、鹿をオルタナティブガーデンに連れて行く。アコギを背負い、カートに鹿を乗せながら移動する様は、子連れ狼そのものだった。到着してオルタナティブガーデンにて、一回目。ばっちりステージ作ってくれてて少し照れくさかったけど、吉武さんの愛を感じた。嬉しかった。「サマー・オブ・ラブ」を歌って鹿ステージのミラクルが起きる。幸せな気持ちになった。




石崎ひゅーいさんのライブを見に、一旦ニューワルツというステージへ。人がたくさんだった。「ボーイズアンドガールズのシンゴくんから、天気がひどいので気をつけてきてくださいねと連絡がきて、ビクビクしていました」とMCで話していたけど、9割が「だれそいつ」となっていたのがとてもよかった。ライブは最高だった。


それからオルタナティブガーデンに戻り、ずーっとだらだら喋って歌って喋って喋って歌ってを繰り返した。すっかり日が暮れて、涼しくなって、何かが終わろうとしている。ちょうど真上に出ていた星に、勝手に誰かを思い浮かべたりした。日常を離れて、普段は感じれない気持ちに出会える。見えないものが見れる。夏とか、外とか、音楽とか、そういうのにはすごい力があるなあと思ったが、そんな中でも日常がしっかりかすってしまうのが、俺である。いつもの深呼吸より、清々しかった。
カルマのゆづきが来てくれて、一曲歌ってくれた。新曲を歌ってくれた。しっかりコールアンドレスポンスなんかもして、しっかりいいライブしていた。歌詞でコールアンドレスポンスをしている途中で、アドリブで「シンゴさんは〜話長い〜、はい!」みたいなこと言ってお客さんケラケラ笑いながら歌っててすごいよかったんだけど、それまで黙った聞いていた吉武さんが後ろから「シンゴさんは〜話長い〜」ってそれだけレスポンスしてて「ちょっと吉武さん!!!」ってなって、面白かった。人はこれを「カルマの悲劇」と呼ぶ。ゆづきありがとう。




全てが終わり、オルタナティブガーデンから人がいなくなり、撤収作業が始まった。俺もアコギたちを片付けて、吉武さんに挨拶をした。吉武さんが、一人の女の子を紹介してくれた。「この子は、これからオルタナティブガーデンを担って行ってくれる一人になると思います」と言っていた。あだちちゃん、という子で、岩見沢教育大の二年生と言っていた気がする。俺と吉武さんが鹿ステージやオルタナティブガーデンのことや今日のことを話している間、あだちちゃんはずっと目を見て話を聞いていた。一文字もこぼしてたまるかというようなまっすぐな目で、話を聞いていた。それがすごく印象に残っている。
あだちちゃんに「んじゃ、これからよろしくね」というと、「はい!どんどん良くしていきます。ここがもっともっと良くなるように、頑張ります!」とまっすぐに話してくれた。がっちり握手をして、吉武さんとオルタナティブガーデンのみなさんに挨拶をして、撮影してくれていたはなちゃんと会場を歩いて鹿を返しに行った。




メインステージの前を通ると、言葉で言い表せれない気持ちになった。「絶対ここまで来たいな」とか話しながら、鹿を戻して、会場を出た。
ちょうど日付が変わる頃札幌に着き、レンタカーを止めて一人歩いた静かな札幌の道が、やけに気持ちよかった。


生きて繋ぐ。
半径3メートルから、しっかりと紡いでいけたらな。

(撮影 はな)

コメント