あの日の叫びは嘘じゃない

東京生活が始まってから、1ヶ月が経ちました。気づいたら、舞台「みみばしる」は残り福岡で3公演、大阪で4公演のみ。6日のプレビュー公演から17日までの12日間(12日は休演日だってので実質11日間)での下北沢本多劇場16公演ですら劇的な速さで過ぎていったように思うので、この先に待ってる7公演は30分くらいで過ぎていくのかなあとビクビクしてます。

本格的に稽古に合流したのが1月18日からで僕だけ少し遅れての参加になって、不安もあったしプレッシャーも勝手に感じたりもしたし気候も全然北海道と違うから大丈夫かなと思ったりもしたけど、関わる全ての方に力を貰いながら、ここまで来れました。まだ終わってないけど、全然終わってないけど、本当に感謝がドバドバです。


ずーっと事務所に寝泊まりしていて、下北沢から稽古場までの30分が遠く感じたり近く感じたりと日によって違ったけど、それも愛しくて、目を瞑ってでも改札の向こうに行けそうな気がしました。駅から稽古場までに広がる15分の青空は、バンドのことを忘れないでいさせてくれました。曲がり角からきこえる風の音は、出てこない歌詞を連れてきてくれました。行けなかった豆腐屋さん、たまに現れるたこ焼き屋さん、ホームに流れるメロディも、何百年も前にも感じるし昨日のようでもあります。

嗄れてく声に、暮れてく夕に、過ぎてく時間に、僕らみみばしるチームは今を乗せようと必死になってここまで来ています。正解がわからず、完成が見えず、だから戦って足掻いて踠いて、笑ったり泣いたりしてます。

始まった時に唯一決まってる未来が"解散する日"だなんて、こんな切ない世界があっていいものかって思いました。「みみばしるやりましょう、東京福岡大阪いきましょう、最終公演は3月3日です」というように決まったと思うのだけど、でもそれつまり3月3日に解散するってことじゃないですか。バンドじゃそんなことありえないんです、「ツアーやろう、全国何箇所でライブしよう、それで解散しよう」とかはあるかもしれない(現に3月の現体制ラストツアーも言うなればそんな感じだし)けど、「本気でバンドやりたいからやろう、どこどこでライブしよう、でこの日に解散しよう」なんて、僕が知らないだけかもしれないけど聞いたことない。始まった時に終わる日が決まる世界。

こんな世界の中で、何かを受け取り発信し探し続けるのが舞台や演劇の世界なんだってこと気づいた時に、なるべく零さないようにこの日々を送ろうって思いました。



稽古が始まってから今日まで、毎日のように歌ってきました。僕はひゅーいさんのように歌も上手いわけではないしギターも上手くないけれど、僕だから歌えるんだという小さな光がきっとどこかにあると信じ、あの人の作った歌を歌ってきています。早く歌いたいです。キャストの皆さんのお芝居と、自分の歌が混ざり合った時、感じだことのないような感覚に抱きしめられます。このみみばしるがなかったら、もしかしたらそのうち忘れてしまっていたかもしれないような音楽や歌に対することを、繋ぎ止めてくれたりしています。


札幌に住んでいます。札幌でTHE BOYS&GIRLSというバンドでボーカルをやっています。ヒット曲もなければ、爆発的人気もないし、若くはないし、ボーカル(私)はハゲてるしギターベースドラムは丸々としてるし、イケメンはいないし、MC長いし曲も長いし。そんなTHE BOYS&GIRLSは、このみみばしるが終わったらすぐにワンマンツアーを3月にやります。このツアーで、ギターベースドラムの3人がバンドを脱退します。僕はひとりになります。でも、この先に待っている未だ見ぬ不確かな何かに胸がワクワクしてるのも事実です。それは、このみみばしるから頂いたものたちのおかげでもあると胸を張って言えます。だから逆に、このみみばしるが終わったら、THE BOYS&GIRLSというバンドから発信されたもので、散り散りになったみみばしるチームのみんなに何かを渡せたらなって思ってます。



14日の日、この日は11時と19時の2公演の日で、公演と公演の間が4時間くらいあった日でした。その間、舞台のソファーや客席、劇場内のそれぞれの見つけた場所でみんなが休んでいました。僕は眠れなくて、ギターをぽろぽろ弾いていました。いつもは騒がしい楽屋から誰もいなくなり、制作の笹やんさんがひとり廊下で作業してました。休憩時間が残り1時間くらいになったとき、僕が適当に小声でふんふん歌っていると笹やんさんが「シンゴさん俺今めちゃめちゃ贅沢な時間だー!今のは誰の歌ですか?」と僕に聞いてきました。僕が「今のは、僕の歌です」と答えると、「めっちゃいいじゃないですか……」とイケメンの笹やんさんが言います。その時歌ってた歌詞は適当だったし特に何も考えずメロディも即興でなんとなくだったので、ちゃんと曲にしようと思ってその残り時間で1番を書いて、ちょうどできた時にキャストの前田こうきが戻ってきたので、こうきに聞いてもらいました。その時こうきが言ってくれたことは、なんと忘れました。こうきごめん。

そして東京千秋楽の17日の朝方、パッと目が覚めて何かうおーってなった僕は、ノートを開いて14日に楽屋で書き始めた曲の1番以降の歌詞を書きました。ああでもないこうでもない、そんな風に書いては消してを繰り返し10時くらいに書き上がりました。顔を洗って歯を磨いて、家を出て。本多劇場までのこの道も最後だなあなんて思いながら「んー、んー」と喉の調子を確認しながら向かいました。

この日劇場について、11時からの丸出し(所謂ダメ出し)後に翔太郎の誕生日(19日)を前祝いしました。公演期間中、優作とならちゃんって奴らが泊まりにきてて、翔太郎もその一人。翔太郎は公演が始まる前から事務所にきてたから公演中1番長く一緒に暮らしていました。翔太郎、改めて誕生日おめでとう。制作の赤羽さんと梶さんに「シンゴさん、丸出し後に翔太郎さんにケーキ出してサプライズハッピーバースデーするので、そこで可能であれば1曲歌ってくれませんか?」と言われて、何歌おうかなってずっと思っていたけど、朝に歌詞書けた新曲があるしそれを歌おうと思って、「みんなが寝てる間にできた曲です」と僕は舞台に座り、みんなは客席の前の方に座り、翔太郎が最前列ど真ん中に座り、聞いてくれました。
少なからず、このみみばしるでの時間があったから書けた曲なのは間違いないし、僕とはまるで真反対な翔太郎とのたかだか1週間ちょっとの暮らしがあったから書けた曲でもあるから、こんなタイミングで書き上げることができて東京最終日の朝イチでみんなに劇場で聞いてもらえたのは、とても意味のあることで、とても幸せでした。この先ずっと大切に歌っていきたいなって思える歌です。




さて、冒頭にも書いたように、舞台「みみばしる」は残すところ23日24日の福岡と3月1日2日3日の大阪のみ。まるで枯れない花のように、このプロジェクトにいる今に全力で向き合って全力で駆け抜けたいと思います。そして最後に華やかに散ることこそが、僕らにとっても見てくれた方にとっても、一番かっこいいものなのかなと思います。「散り際美しく、去り際優しく」とは良く言ったものです、はっはっは。福岡、大阪、どうかこのみみばしるを見にきてください。

そして、みみばしるが終わったらTHE BOYS&GIRLSとしてブリブリでいきます。毎日考えていますのでね。
ちなみに15日の丸出し後には、僕もちゃっかりケーキをいただきました。30歳です。



なんだか不思議と大丈夫な気がしたんだ、本当だよ。

コメント

  1. シンゴさん、お誕生日おめでとうございました!
    「みみばしる」1度だけ観に行かせてもらいました。舞台は今まで観に行ったことなく勝手にお年寄りが沢山いるのかな位のイメージでした。シンゴさんの歌はもちろん、演者さんのパワーというかなんかすごいグッと来て気付いたら笑ったり泣いたりしてました。この空間を体感出来て良かったです、ありがとうございます。
    福岡、大阪も体調に気をつけて頑張ってください!
    ツアー、全公演ソールドアウトおめでとうございます✊
    ボイガルも、楽しみにしてます︎︎☺︎

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    1. みみばしるが本当に自分にとって大切なものになりました、見てくれてありがとうございます。ボイガルも任せてください。

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  2. お芝居も見に行けません。3月のライブにも行けません。
    でも、中標津の東武へ買い物行く時は必ずボイガル流して運転してます。
    私の生活です、ボイガルは。
    シンゴさんっ東武にはコストコの商品も売ってるんだぜー!

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    1. ありがとうございます、僕にもっと力があればなあ。道東にも聞いてくれてる方がいると知れて嬉しいです。東武にコストコの商品あるのは初耳です、やばいな。

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  3. みみばしるは私にとって、いつか壁を乗り越えなければならなくなった時に背中をぐっと押してくれるような、そんな存在になった気がします。
    みみばしるをきっかけに出逢えたTHE BOYS&GIRLSの楽曲からも沢山そのような感情を頂きました。
    下手な文章ですみません。
    3月の渋谷のライブすごく楽しみにしています!陰ながら応援させて頂きます。

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    1. まさに、僕にとってもそうなりました。とんでもない時間を過ごしていたんだなと、終わってから余計に感じています。ありがとうございます。

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