陽炎
桜が散り始めてて、綺麗だけどやっぱりどこか虚しくて、美しいけどやっぱりどこか汚くて最高。ラジオからチャットモンチー、したいことが多すぎて散らかった狭い部屋。よし、早めに引っ越そう。
変わらず元気ですよ。
と言いたいところだけど、いやいや、変わらないわけないんだな。勝手が違うんだ、今までと。できなくなったことも確かにある。でも、できるようになったこともたくさんある。現状維持で進めるつもりがないから、変わり続けていく。それが僕の変わらないってことだ。やっぱそれが良くて、生きてるなって感じることができる。ひとりでも、バンドなのだ。友達が力を貸してくれて、僕は今日も音楽の中にいる。
四月頭、レコーディングをした。たった一曲だけのレコーディング。
八年間一緒にやってきたメンバーがバンドを離れひとりになって、十日ほどで新曲のレコーディングをした。もちろん時間は詰め詰めの状態。一月頭から三月頭までは舞台があって二ヶ月札幌にいなくて、帰ってきてから速攻でオリジナルメンバーで最後のツアーで、弾き語りも福岡と広島で間に入っていた。毎週水曜日はラジオもあった。それでも僕は一歩先へ行きたかったし、それがこのバンドのやり方だったから、わずかな隙間を埋めるようにサポートの三人ともスタジオに入っていた。彼らのそれぞれの活動や生活を擦り合わせながら、スタジオはいつも日付が変わるてっぺん付近だ。THE BOYS&GIRLSというバンドをよく知る三人が本当に頑張ってくれて心から感謝している。
録れた音は、強く儚く優しくて、今にも消えそうだけど姿形を変えてここぞという時に現れてくれるような、そんな素敵なものです。
レコーディングが終わって、ドラムの大岡新之介(ポルノ)の車で四人ですすきのに向かっている間、録り立てほやほやのそれを聞きながら「かっけえな。。。」ってずっと言っていた。あの日はなかなか、飲みすぎたな。
その曲は、「陽炎」と言う曲です。
専門時代の後輩で僕にとって大切な友達に、健太というやつがいる。
メンバーが抜けることが決まったすぐ後に、深い意味はないけど健太を誘って飲みに行った。出会って十年くらいが経ったけど二人で飲むのは初めてだった。健太にちゃんと会うのも何年振りかだった。健太は、普段バリバリ働いていて、ボイガルのライブに来れる時は仕事終わりに駆けつけてはいつも一人でスーツで拳を上げているような男だ。
久しぶりに会ったその日、酔っ払った僕らは「遊びでスタジオ入ろうぜ」ってなって、数日後にスタジオの予約をして解散した。健太は四年ぶりにベース弾くと嬉しそうにしていた。ドラムはなんとなくポルノを誘った。「ポルノって誰だよ」と健太は笑っていた。ポルノは「健太くんは、誰ですか、、、」と不安そうな返事を返してきた。健太とポルノは面識がなかった。けど、そんなのどうでもよかったのだ僕は。お互いから「なんか練習しといた方がいい曲とかあります?」的な連絡が来ていたけど、「何もしなくていい」と返した。
久しぶりに会ったその日、酔っ払った僕らは「遊びでスタジオ入ろうぜ」ってなって、数日後にスタジオの予約をして解散した。健太は四年ぶりにベース弾くと嬉しそうにしていた。ドラムはなんとなくポルノを誘った。「ポルノって誰だよ」と健太は笑っていた。ポルノは「健太くんは、誰ですか、、、」と不安そうな返事を返してきた。健太とポルノは面識がなかった。けど、そんなのどうでもよかったのだ僕は。お互いから「なんか練習しといた方がいい曲とかあります?」的な連絡が来ていたけど、「何もしなくていい」と返した。
スタジオ当日、二人の初めましてから始まって、準備して、健太が「さてシンゴくん、何やるの?」と口を開く。僕はそこで「歌作ってきたからそれやろう」と、陽炎を聴かせた。ホワイトボードに歌詞を書き、二人がそれを追いながら僕の弾き語りを聴いている。歌い終わって「という感じの歌」と言うと、「なんで今日いい歌を持ってきてるんすか」と笑われた。嬉しかった。あの一時間三十分のパワスレB2スタジオが、陽炎の始まりだった。ふざけて入ったスタジオがあって本当によかった。それから健太も僕も忙しくなって、あっという間に2018年は終わった。
先月四月二十日、ボイガルが僕一人になり最初のライブ。前の投稿にも書いたように共に音楽を鳴らしてくれる友達と、バンドセットで再開だ。一曲目は、未だ誰にも聴かせていない「陽炎」。開始二十秒、ひとりのダイバーが出た。泣いてるんだか笑ってるんだかわからない表情でダイブをしている男だった。まだ誰にも聴かせていないこの曲を、僕と同じように歌いながら転がっている。よく見たら、健太だった。久しぶりだな、健太。
終演後、嬉しそうに話す健太は顔が真っ赤だった。見に来てくれたトモヤさんは楽屋に来るなり「売れたわ!!」といつもの調子だった。ケントボーイズは楽屋に来なかったけど大量のビールを置いていってくれた。楽屋で三本くらい飲んだ。その夜も、まあまあ飲んだ。
正解はわからないけど、間違いじゃないってことはなんとなくわかる。
不正解なのもわかっているけど、間違いなんかじゃないってことが確かにある。
友達のバンド、この街のバンド、憧れのバンド、見れば見るほど追えば追うほど胸が苦しくなる。「ちくしょう、俺だって、俺だって、俺だって」と、なる。悔しくなる。だけど一からのスタート、かっこつけても背伸びはしない。第二章は、運んでいく。靴ひもを結ぼう、すべてが音楽にならなくても。
さて、今夜22時からのTOKYO FM「SCHOOL OF LOCK!」という番組で、「陽炎」が全国初オンエアされます。すごいことだ、こんな状況になったこんな田舎者を信じてくれている。バッチリ受け渡す準備はできている。いよいよ、この歌が、世に流れ始める。どうか聴いてください。煌めいてくれ、どうか。なんども言いますが、22時からです。ツイッターでもインスタでもなんでもいい、聴ける方やSNSとか動かせる方は感じたことがあれば何でも発信してください。SOLにコメントでもメールでも、どんどんしてください。この歌でなんとかしてみせるって、本気で思っています。
陽炎とは、あなたのことなんです。
混ざり合って、重なり合って、いいことばかりじゃない日々に揺れながら、儚くも美しく頼んだよ、陽炎。
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