限りない夢を

バンドというものがひとつの灯りだとするならば、このTHE BOYS&GIRLSというバンドは本当に小さな電球だなと思う。少ない光量しか持ち合わせていなくて、灯せる範囲なんてこれっぽっちで、見渡す限りが明るくなるわけでもない。なくしてしまった鍵とかリモコンとか、しばらく使ってないハサミとか、探せるものとか見つけれるものはきっとそれくらいの、小さなものなんだと思う。それでいいし、そうだといいなと思う。蛍光灯より小さな裸電球で、その方が暗かったことを忘れずにいれそうな気がするのは僕の弱々しい性格からだろう。でもなんとなくこのバンドはきっと、そうあるべきなような気がしている。そんなの感じ方はきっとそれぞれだからこんなこと言うのは野暮っちゃ野暮なんだけど。例えば太陽のように思ってくれる人もいるかもしれないし、例えば押入れの中から画鋲で戸に穴を開けた時に差し込んできた小さな小さなあの光のように思ってくれる人もいるかもしれないし。ただあくまでも僕は、当人だから、そんなような気がしているだけ。追いついていてもいいし、追いついていなくても別に問題はない。


みみばしるが終わって札幌に帰ってきた3月4日、あの日から3ヶ月半。
文字にすると、あれだな、めちゃくちゃ短いな。この3ヶ月半が濃すぎて、思い出すだけで何でもいいからサラダ食べたくなるな。シャキシャキのやつ。
オリジナルメンバーとの最後のワンマンツアーがあって、間に弾き語りのライブもあって、間でサポートメンバーとのスタジオも入り始めては曲を書いて。4月になっても同じように毎日のように歌ってはスタジオに入り、そして「陽炎」のレコーディングをして。MVも撮った。気づいたらあっという間に新体制初めてのライブがあり。そして変わらず弾き語りのライブもあり、あれやこれやで新体制2本目のライブがあり、弾き語りやって愛葉集のレコーディングあって、声出なくて別の日にまた東京行ったりして、東京のサポートメンバーともスタジオに入ったりしながら弾き語りでのライブはあり、気づいたら「明転ツアー」が始まっていた。

油断すると、まるで一年分の活動をしたような気分になりそう。あぶね。





6月20日、札幌cube garden、暗闇からここまで来たんだ。
リハーサル、明らかに何かが合わない。何かはわからない。僕も、ギターのふるしたさんも、ベースの三角も、ドラムのポルノも、調子はいい。だけど何かはわからない、何かが合っていない気がした。音作りも多少難航したのもあるけど、初めてこの4人で上がるライブハウスのステージ、キューブガーデンのステージに、どこか足並みがそろわない。難しかった。冗談交じりでリハの方がいいと言われ続けてきたこの8年間、この日は明らかにリハが難しかった。悪かったわけではないけど。リハが終わり、僕らはご飯を食べに行くことにした。




キューブガーデンの階段を下りながらみんなでラルクの「HONEY」のイントロのベースラインを歌いながらサッポロファクトリーにある「とんよし」に向かった。なんでラルクの話になったかは覚えていないけど、とにかくラルクの「HONEY」のベースラインを歌いながらとんよしに向かった。今思えば、歌じゃなくてベースラインを4人で歌ってるの気持ち悪いな。ただ、それくらいあのベースラインは最高である。とんよし、量が多かった。お腹いっぱいになり、みんなでゆっくり会場に戻った時僕は確信した。

絶対に大丈夫だ、と。



-KARMA-が新しい歌をやっていて、それがとてもよかった。新しい歌がいいバンドはかっこいいんだ。あいつの、あいつらの新しい歌、どんどん聴きたいな。
空きっ腹に酒は、爆発しててもうやめてくれと何度も思った。今のあいつら正気の沙汰じゃない。個人的に大好きな2曲をやってくれて幸せな気持ちになった。あと実は一瞬ステージに上がり歌ったんだけど多分3人くらいにしか気づかれていない。

そして我々はステージに立った。
結局、決めていた曲の繋ぎは変わるし、アウトロの尺も長くなった。ふるしたさんが「お前...!!」と僕を指さして笑っていた。笑って許して。











思えば、ここまでの道は暗かった。
そしてこれからもきっとそうなんだと思っている。だけどこの先に続く明転ツアー、きっと素敵なものになると思っている。勝ち負けの前に、拳上げる上げないの前に、初めてか初めてじゃないかの前に、暗闇を知ること。そして、小さな灯りをつけてその方向へ。そして見つけたら手を伸ばし、消えていく灯りに目を閉じてまた暗闇へ。明るく転んでいくんじゃなくて、明るい方へ転んでいく。似てるようで全然違う、難しいけどきっとかっこいい。





一人でも大丈夫、僕も一人です。
友達と来ても大丈夫、僕の友達も紹介します。





撮影:はな
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コメント

  1. シンゴさん。7/7のブロンズライブお疲れ様でした。熱かったです。本番前にツーショット撮っていただいた、3歳の息子がいるあつきと申します。あの時は、僕自身シンゴさんと話せて、手が震える程に嬉しかったのですが、家に帰るとライブの話を聞きたがる息子を想うと、やっぱり一度はボイガルを直接見せてあげたいと強く思いました。なので、次の大阪でのライブにはどうゆう形であれ、息子を連れていきたいと思っています。シンゴさん、本気で折り入っての相談なのですが、どうにか3歳の息子をボイガルのライブに参戦させれる手立てはないでしょうか?お返事待ってます。

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    1. すみません遅れてしまいました。3歳のお子さんが好きでいてくれていること嬉しく思います。ライブは基本的に見れるかと思います。というのも、未就学児の入場が禁止の時もあれば、保護者がいれば大丈夫な時もあります。イベントによってそれは変わってきますので、各イベントの問い合わせ先にお問い合わせの上、お父様にご判断していただければと思います。ライブ会場は音も大きいですし、スタンディングエリアは何が起こるかわかりませんので、その辺りをしっかり考慮していただき各イベントにご確認ください。我々仕切りの時はホームページやイベンターにお問い合わせ願います。宜しくお願いします!

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