正反対の私たち

例えば大きなステージに立ちたいとか、たくさんの人に聴いてほしいとか、憧れのアーティストと共演したいとか、まあ色々あるわけだけど。そりゃ、そういうことをやっているから、至極当たり前に浮かんでくる感情の一つで。
そしてそういうのは、どんどん口に出していくといいのもなんとなくわかる。心の中を言葉にして声にして口から出すと、不思議と近づくような、なんだかそんな気がする。

だけど、それとは真逆の、正反対のところで巻き起こることに気持ちを乗せることができなければ全くもって意味がない。意味がないというか、きっと近づくことはない。
「自分にとってこれは必要ない」「この人は合わない」「こういう言葉は取り込みたくない」というシャットアウトの判断を簡単にしちゃダメだというわけではなくて。そういうのはガンガン遠ざけるべき。疲れちゃうから。でも、ぼんやりとしてる未来をぼんやりと同じように見ている人がいるのなら、そんな空間や瞬間の最中にいるのなら、話は少し変わってくる。くーっ、人生って素晴らしい。


7/13.14の二日間、JOIN ALIVE内の「オルタナティブガーデン」というエリアで、歌を歌わせていただいた。もともと2016年に、鹿ステージと題してジョインの会場内で弾き語りをしたところから始まり、2017年にオルタナティブガーデンと出会いそこでやらせていただき、昨年もオルタナティブガーデンで歌い、今年もオルタナティブガーデンで。それまでゲリラ的に決行してきた鹿ステージだけれど、今年はオルタナティブガーデンの吉武さんから直々にオファーを頂いて歌わせていただいた。他にもオルタナティブガーデンに出演されたアーティストさんはいたけども、僕だけ告知は両日ともに当日となっていて、にもかかわらずたくさんの方が集まってくれて嬉しかったです。

教育大の岩見沢校の学生たちが中心となり存在しているあの場所が、気づけば僕はジョインの中で一番好きな場所になっていました。



昨年よりもっといい場所になるように、ジョインにきているお客さんたちがほっと一息つける場所になるように、一年間頑張ってきたんだろう。初日の14時前頃に会場についた時に、昨年に比べて明らかにオルタナティブガーデンに滞在している人が多かった。活気があって、でも、緩やかな空気も確かに流れてる。それだけでなんだかグッときてしまったもんだ。
学生の中心になっていたあだちちゃんと一年ぶりの再会をした。
あだちちゃんと昨年初めて会った時、帰り際に僕に「この場所がもっともっと良くなるように、頑張ります」と言ってくれたのがずっと心に残っていた。その辺のことは一年くらい前の投稿に書いている。一年ぶりのあだちちゃんは、少し髪を染めていた。


あだちちゃんは一人の女の子を紹介してくれた。「この子も一緒に頑張ってきた一人です」と、いくみんという女の子。まるで昨年、吉武さんがあだちちゃんを紹介してくれたように、あだちちゃんがいくみんを紹介してくれた。自分の仲間や友達って紹介したくなるもんな。二人は、性格とか真逆で〜あははなんて笑ってて、そんな二人のやりとりを見てるとワクワクした。
岩見沢のBAR、惑星コーネリアスも「CAFE ZIRA」として今年もオルタナティブガーデン内に健在。最高のご飯をいただき、ビールもいただいた。安田さんご夫妻とお店の皆さんにも会えて、気持ちは晴れやかだった。

夜も落ちてきて、僕も歌い、明日に向かうことにした。
あだちちゃんやいくみん、ジーラやオルタナティブガーデンのみんなに「また明日」なんて言いながら、札幌へ帰った。



翌日もオルタナティブガーデンにはたくさんの人がいた。
たくさんいるんだけど、空間は広いし窮屈さなんてこれっぽっちもないから、うまく言えないけどとにかく最高な感じだった。あーー嬉しい、みんな頑張ったんだなあって思いがずっと身体中を流れていた。
1000人分のジョインアライブでの思い出の言葉が羽となり、フラミンゴが2羽立っている。綺麗だった。僕も書かせてもらった、どこまでも羽ばたいていけよ。





「多分、今年で私は、ここにこうやって関わるのは最後です」

あだちちゃんが小さな声で、少しつまりながら、そう教えてくれた。
そうだよね、もう大学三年生だもん、就活とかそういうのあるもんな。学校にいるだけじゃ知りえなかったことや見れなかった景色や吸えなかった空気、今度は自分の力に変えて頑張ってほしいって思った。切なくて、儚くて、赤い傷だらけの日々よね。寂しくなるけど、「私が教えれることは教えたいし微力でも手伝えることはしたいと思っています」と後輩たちとオルタナティブガーデンへの気持ちも話してくれてなぜか僕が嬉しかった。

日が落ちて、歌った。どんなライブをしたかは、忘れた。
オルタナティブガーデンと、関わったすべての学生たちと、きてくれた人にだけ届くように歌えたことは間違いないはずだ。



お客さんがいなくなり、少しずつ撤収作業が進んでいくオルタナティブガーデンで、あだちちゃんと、いくみんと、3人で話した。二人は時折寂しそうに、ヘトヘトな体で、だけどとても穏やかな顔で話してくれた。
「実はこの前私たち、ケンカというか、言い合いになって」と話す二人はとても楽しそうだった。きっと忘れられない日々だっただろうし、大切な仲間に出会えたんだと思う。「いつか打ち上げしような」と守れなさそうな適当な口約束をして、僕らは7月の岩見沢で別れた。





バンドが一人になり、日に日に感じることや思うことが変わっていく。
増えたり減ったり、大きくなったり小さくなったり。
だけどこの二日間、彼女たちの作り上げた場所で過ごしたことによって改めて気づかされたことがたくさんあった。もちろん、そこに集まるお客さんにも教えられたように思う。

大きなフェスティバルの、広い会場の隅っこの隅っこにある、気持ちのこもった無料エリア。目の前に広がるリアルに真正面から向き合い誰にも気づかれないように音楽ができなきゃ、僕はきっとダメだ。まずは僕はそこからだ。

過去にしがみつくとかではないけど、連れて行きたいストーリーは何ページもあるし、途中で破り捨てるつもりもさらさらない。




撮影はな
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