遠くない未来まで届けられるかな

いつも通り特になにも考えずに、ペニーレーンに向かった。
振り返ればいくらでも出てくるけど、ちゃんと自分でわかってる。
一歩先へ行きたかった。



ペニーレーンに着くと、COLONYの照明のミッチェさんがいた。夏頃生まれた赤ちゃんを抱いて、わざわざ来てくれた 。3月のペニーレーンのワンマンはミッチェさんが照明をしてくれて、その日の打ち上げで子供が生まれることを教えてくれた。赤ちゃんはおとなしくて、お利口さんだねえなんて言って。おっきい人間たちに囲まれてきょろきょろしていて、でも泣くこともなくたまーに少し笑ったような顔を見せてくれてかわいかった。なぜか辻を見た時だけ爆笑していたのがよかった、身長同じくらいだったな。ミッチェさんは、シンゴ頑張ってねと言って、ボイガルのラバーキーホルダーをつけた子供を抱いて帰っていった。

FREE KICKのゆうきさんとひできさんが来た。対バンした回数も決して多くはないしけど気づけばいつもこうして気にかけてくれて、顔出してくれて、見てくれる。大切で大好きな北海道の先輩。最高のバンド。「やっぱR-1だよなと思って」といって、2人はお酒とR-1をくれた。

マイアミパーティのドラム、ユウくんが来た。ユウくんは、このバンドの東京サポートとしてこの半年ドラムを叩いてくれた。奇しくもマイアミも札幌でライブで、自分の会場入りの前にわざわざ寄ってくれた。オロナミンCと、ファイブミニ。一気に飲み干して僕はリハーサルに入った。


リハーサルは予定していた時間ギリギリまで使った。1年で3回目のペニーレーンのワンマン、見慣れたわけではないけど見覚えははっきりとある。だけど、サポートメンバーのふるさんも三角もポルノもペニーレーンのステージに立つのは初めてで、なんなら3人はワンマンライブ自体が初めてと言っていた。本番までに身体中に染み込ませるんだ、この空っぽのフロアと匂いを。そして明転すれば、そこに本物ってやつがある。


リハーサルが終わって楽屋に戻って色々確認して、急いで会場BGMの整理。ここにきてパソコンの調子が悪くなり楽屋でどんがらがっしゃん。オープン時間が6.7分遅れてしまったのは僕のせいです、寒い中並んでたみんな、本当に申し訳ない。会場BGMは、この明転ツアーに出演してくれたバンド達の曲で。ほんの少し、各地のことを思い出した。
楽屋にあるモニターを見て、三角が「わー、オープンしてる」と言っていた。みんながそわそわし始めた。Tシャツに文字を書けば落ち着く。これが僕のスイッチのひとつ。はなちゃんが「1枚、撮りましょう」と言って、4人で発声練習しながら撮った。

福岡さんが「まもなくだぞ〜」と言って、みんなが階段を降りていく。
誰よりも冷たく歌えるように、軽くストレッチをして、軽く目を閉じて、軽く深呼吸をして、目を開ける。楽屋には誰もいなくなり、僕はひとりだった。

まるで、あの日のようだった。



楽屋を出て階段を降りるとみんなが待っていた。
よろしくね〜なんて3人と話して、福岡さんが「シンゴいくぞ〜」と言って「はい」と答えたのとほぼ同時に、PAの松本さんがBGMを煽ってフェードアウト。照明のアニーさんもそれに合わせて照明を切り替え、僕はアニーさんが落としたトップライト目がけて歩き出した。

最初に何か話した気がするけど、何を話したかは覚えていない。
1曲目は「カーテンコール」という初披露の新曲。

 少しだけ眠ろう
 君の夢を見よう
 ベランダに腰かけて

 誰もいなくなり
 換気扇だけが
 カラカラと回ってた

という歌いだしで始まる。この夜に何かが変わると信じてみたい、そんな気持ちだった。



歌って、飛んで、話して、ぐしゃぐしゃになって、べちゃべちゃになって、気づいたらライブが終わって楽屋にいた。予定通りの1時間45分。こんな早かったっけ。
鏡をみると、べちゃべちゃで頭が大変なことになってる自分が映って、ゲラゲラ笑った。あーもうめっちゃハゲてる!!ってみんなに見せたら、みんなもゲラゲラ笑ってくれた。辻が「ごろさん大丈夫、3曲目でもうハゲてた!」と満面の笑みで言うもんだから、さすがに大爆笑2019だった。ボーカルにそんなこと言うマネージャーがどこにいるんだよ。でもいいのだ、ステージの上はもういいの。めちゃくちゃカッコつけてるのに、結局カッコつかなくて、べちゃべちゃでダサくて不細工で、僕はそれでいいのだ。歌が歌いたいから。というか、きれいに汗かいてるボーカルが多すぎるんだ!どうやってやってるんだよそれ!と聞きたいくらいだ。

友達たちやお世話になってる人たちが楽屋に来てくれて、喋ったり飲んだりしていた。
トモヤさんとケントボーイズも来てくれて、2人はすぐビールを開けて誰よりも顔を赤くしていた。早く打ち上げに行きたかったから、ひと段落してすぐ荷物をまとめて一回外に出ようと思った時にふと考えた。「ツアーファイナル、地元札幌、最高なライブ」、そう、出待ち殺到の条件が全て揃っていたのだ。「困ったなあどうしようかなー、軽く『ありがとね、はは、じゃーな子猫ちゃん達』とか吐き捨ててさっと帰ろうとか思いながら、心の中でニヤニヤして階段降りて外に周りを見渡してみた。

そこに広がる景色は、静かな琴似の空。防寒して手を繋いで歩くカップル。滑らないようにゆっくり歩くおばあちゃん。

以上。

ええええええ出待ちひとりもいないえええーーー?!??!!!?
ほんとのほんとにひとりもいなくて、ほんとに?!ってなりました一瞬。
ほんとにひとりもいなかった、すごかった。すごっ…って言っちゃったもん。もうセリフ考えてた自分もめちゃくちゃ意味不明だし、ほんとに最高なんだけどってなりました。や、これは負け犬の遠吠えじゃなくてほんとにですよ。ライブ見て、よっしゃー最高だった帰ろう!ってなったんだなって。あの空間とあのステージがすべてだったもん、誇らしくなりました。そのおかげで最高な気分で打ち上げに突入、完璧。



多分、今年1番飲んだような気がする。
1軒目でふるさんにバースデーケーキをして、たしか1時過ぎくらいに店を出て2軒目に全員で行った。そしたら2軒目でマイアミのユウくんとマサキユくんも合流していぇーいとか言って、そんで気づいたらさくとジオくんもいた。さくとジオくんがいつ来たかは本当に知らない。

とりあえず、すごく飲んで、すごく意味不明だった。
トモヤさんとアニーさんがずーーっと面白くて、1軒目も2軒目も僕の隣で三角がずっとゲラゲラ笑っていた。というか、みんながずっとゲラゲラ笑っていた。嬉しかった。東京から来てくれた我らがTHE BONSAI RECORDSからツネさんと辻とモカもうるさくて楽しそうでゲラゲラ笑っていた。嬉しかった。はなちゃんも毎日のようにいろんなバンド撮りに回っててしんどいだろうにゲラゲラ笑っていて嬉しかった。

僕はゲロゲロしていた。しんどかった。



何時かわかんないけど、2軒目を出たところで解散になったらしい。
僕はどうやらみんなが店の外に出てくる前に、下にいた何人かにばいばいを告げて1人歩き出したらしい。ちゃんと家に帰れててよかった。
雪がちらちらしていて、風が冷たかったのは覚えてる。それもこれも、なにもかも、昨日は全部嬉しかった。

朝起きたら、まるで昨日お酒なんか一滴も飲んでいないんじゃないかってくらいの快気。
絶好調。ただ、声だけどこかに置いてきてるぽい。ガッサガサ。
嬉しい。





来年、4月29日に、『大切にしたいこと』という3枚目のアルバムをリリースする。
タイトルのまんま。それぞれで考えてほしい。最高なやつを必ず届ける。

5月9日には、東京代官山UNITで『ノロシヲアゲロ』という自主企画イベントをやる。実に5年ぶり。対バンイベント。出演アーティストとかは後日発表する、とりあえず14時スタート。体力つけとくように。

5月16日から、新譜ひっさげて全13箇所のワンマンツアー。ツアータイトルは、『少年少女の星屑』。消えたのなら、点ける。ほしいのなら、届ける。見たいのなら、輝く。探したいのなら、一緒に探す。取り戻しに行こう。
各場所への思いはまた改めて書く。







THE BOYS&GIRLSが好きだ。

最初からわかってた。

コメント

  1. 昨日、ほんとに最高でした!
    ステージの上のシンゴさんがぐちゃぐちゃで笑顔で楽しそうでかっこよくて、シンゴさんを見てる私達もぐちゃぐちゃで楽しくて。
    来年のアルバムもツアーも決めてくれて、来年もボイガルと生きていこうと思えました!
    体調に気をつけて今年も残り頑張ってください!
    THE BOYS&GIRLSが大好きです

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    1. 返せてなかった、すいません。ぐちゃぐちゃは綺麗、頑張りましょう

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  2. 前回のコメントでまたボイガル見れますように。って書きましたが早速ツアー発表!!!
    見れる!!!即福岡とりました!
    楽しみすぎます!
    願いを叶えてくれてありがとうございます。
    まだまだ先ですが全力で待ってます!
    そしてアルバム買います!!

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    1. 返せてなかった、すいません。福岡待っててください、すぐ行きます。

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