シルベのこと書いておく
ハッピーニューイヤー。
ブログの更新をできなかった約5ヶ月の間、炊飯器の電源コードをずっと探していました。そして先日、遂にその長い捜索に終止符が打たれ、最近は茶碗の中でダンスっちまっている米たちを眺めています。
さて、
ちょうど一年前、僕は突然「フェスをやりたいな」と思いました。バンド活動を進めて来たこの10年の中で色んなアクションを考えては来ましたが、「フェスをやる」ということだけは微塵も思ったことがなかったので、自分でも「?」って感じだったけど。
でも、思いついた同タイミングで「よし決めた、やる」という感じでした。
その頃といえば、「イベント中止、アルバムのリリース延期、ツアー延期、振替公演いつにする、会場どこにする、そもそもどうやってやる、配信どうやってやる、ライブハウス叩かれてる、ステイホーム、エトセトラ」で、なくなったもの・なくなっていくものをどのように再構築するかでいっぱいいっぱいの時だったように思います。
ただ布団の中でふと、「このまま再構築に追われて、そしてそれを遂行できたとして、それで一年終わってしまう」と思いました。それが終わった時に、「じゃ次はどうしよう」じゃ、ちょっと遅いし。そんな時に僕は、フェスを思いつきました。“1年後”のフェスを。
マネージャーの辻、レーベルのボスのツネさん、ライブ制作の福岡さんに、「1年後中標津でフェスをやりましょう」と伝えました。中標津空港の前に広場があるからそこでやりましょうと。みんな案外すぐに「よしやろう」となり、僕らの激動の2020年が始まったのです。
中標津町とは、北海道の道東に位置する町で、僕の故郷です。
町中にライブハウスはなく、映画館もなく、週末になると必ず誰かがライブしてるという光景はありません。ただ、僕はそんな町の生活の中で、音楽に出会いました。触れるきっかけさえあれば、住んでる場所は関係ないんですね。そんな中標津町で、フェスをやろうと思いました。フェスの名前は「SHIRUBE 2021」です。
昨年、都市間移動が可能になったタイミングですぐに中標津へ。
そこで中標津町総合文化会館の金曽さんという方に会い(正確には再会)、力を貸して欲しいと相談しました。想像している規模感などを共有しながら、「この人に会おう」「ここの許可をもらおう」などとリストアップして、だいたい月一で中標津に通い、町の様々の方に会いに行きました。「こういう思いで、こういうことをやりたいんです」と伝えて行きました。
お会いしたほぼ全ての方に、僕の存在はもちろんTHE BOYS&GIRLSの存在も届いていませんでした。バンドで中標津でライブをしたのも3回ほどだし、最後に中標津でライブをしてから6年近く経っていたし、自分の認知度の低さがまだまだなことは重々承知の上だったけれど、それでもさすがに、あれはなかなか喰らってしまいました。自分の力不足に、これでもかというくらい悔しくなりました。でもいつも同行してくれていた金曽さんの人徳もあり、町のたくさんの方に力を貸していただけることになりました。金曽さんがいなかったらここまで形にすることはできなかったです。
ボイガルのサイドーストーリーを見せていこうと、「俺の背中に流れてく」という漫画を毎週日曜日にツイッターとインスタグラムで連載することになりました。森野ひにちさんという方に描いてもらっています。
“ボイガルのこれまでを振り返りつつ、だんだんと漫画が現実に追いついて、そしてSHIRUBEという新たなフェスが出来上がっていくまでを描いていく”という構想が最初からあったので、とある夏の日、喫茶店に彼女を呼び出し、この話を持ちかけました。ひにちさんは「漫画を描いたことがありません」と言った後に「ワクワクしますね」と言っていました。毎週ギリギリになる僕の原作をもとに、最高な絵をあげてきてくれています。
中標津のコミュニティラジオ・FMはなで、毎週金曜21時に番組をやらせていただいています。
FMはなの皆さんにも本当にたくさん力をいただいています。僕が札幌に住んでるのもあり基本的に収録放送ですが、今年に入ってからは生放送で乗せてもらったりと、僕のわがままにたくさん付き合ってくれて、頭上がらないです。これも、SHIRUBEを盛り上げていくために、はなの皆さんが賛同してくれて成り立っています。中標津のレゲエアーティスト・バッファローソルジャーのコータローさんという方が先月の生放送に出てくれて、忘れられないもんなあの日のこと。二人で歌ったとき、コータローさんフリースタイルで「6月19日はシルベで会いたい」って入れてくれてかっけかったんだよな。あれが電波に乗ったの嬉しかった。
中標津だけではなく、SHIRUBEを成功させようとたくさんの方がこのオンボロ舟に乗り込んできてくれました。駐車場どうするとか、ステージどうするとか、警備どうするとか、感染対策どうするとか、電源どうするとか、シャトルバスどうするとか、出店どうするとか、装飾どうするとか、移動手配どうするとか、宿どうするとか、数え切れないくらいのいろんなことを動かしてきてくれた方がたくさんいます。そしてもれなく全ての人が「まずはシンゴの意見ありき」と言ってくれました。お前がやりたいこと、イメージしてることを全部話してくれと言ってくれました。「それはさすがに無理だわ!!」と笑ってくれたり、「それは面白そうだな!!」と乗ってくれたり。そして、現実をしっかり提示してくれました。
SHIRUBEには「シルベクルー」という一般公募で集まってくれたスタッフ達がいます。これまで月一でクルーミーティングをリモートでしてきて、その度に出てくるクルー達の意見や、各地でのポスター貼りなどのそれぞれのアクションにめちゃくちゃ救われてきました。そんなクルー達のパワーで、SHIRUBEはどんどんと進んできました。そして先週15日、今月のクルーミーティングがリモートであり、そこで最初に
「6月19日のSHIRUBE 2021は、中止にします。」
ということをみんなに伝えました。SHIRUBE 2021は中止です。
45分近く、僕の思いを話しました。ちゃんと全部伝えたかったから。涙を流す人、ぐっと唇を噛み締めている人、何度も頷いている人、みんな一生懸命僕の話を聞いてくれていました、ありがとう。
そして散々話して、「なので今日でSHIRUBE 2021のミーティングは最後です、本当にみなさんお疲れ様でした。」と伝え、「そして只今より皆さんは、6月19日に新たに開催する“SHIRUBE 2021 ONLINE ~LIGHT IS HOPE~”のクルーとなります。あと1ヶ月、気を引き締めてください」と伝えました。
みんな「、、、はい、、、ん、はい?」みたいな顔しててよかった。
というわけで、SHIRUBE 2021通常開催は断念しました。
なので、やれるやり方で、開催します。YouTubeを使って生配信で開催します。もちろん無観客になりますが、ここまでやってきたSHIRUBEというものに触れてもらえるように、中標津というものに触れてもらえるように、お家にいながら楽しんでもらえるように。
いろんな場所でそれぞれ部屋の灯りの下でSHIRUBEに手を伸ばしてほしいと思います。それは希望だし、大きな標になると信じています。
今年が初開催なので、当たり前ですが過去の映像とかはありません。
なので映るもの全てが初めてのものです。1年かけて積み上げてきたものを、1ヶ月でさらに良いものにします。なので、もう少し、付き合ってくれると嬉しいです。
フェスなので、しっかり詳細も出していきます。
最後に、
いつ抜けられるかわからないくらいの真っ暗な道の中で支えてくださっている医療従事者の皆様、様々な分野で戦い続けている皆様に、心から敬意と感謝を申し上げます。
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