僕等の好きなもの

中標津町という小さな町で生まれ育った。北海道の道東に位置していて、札幌からは車で6時間くらい。時間でいうと、東京から大阪くらいか。それでも、札幌も中標津も同じ北海道ってんだから、本当に広いな北海道は。その中標津町で『SHIRUBE 2022』というフェスを開催してから、ちょうど1年が経った。あの激動の日々は、振り返るだけでパワーが必要なので、あんまり振り返らずにいた。そんなことをしなくても、いたるところに全部染み込んでいる。

『SHIRUBE 2022』とほぼ同タイミングで『ユアキャンバス』という本当に大好きで最高な4枚目のアルバムが発売したから、あれからも1年が経ったってことか。ユアキャンバスを携え回ったツアーは、今まで回ったいくつかのツアーのどれとも違く、アルバムリリースの全国ツアーとして本当にどの瞬間も美しくて、ふとした時にすぐ思い出している。YouTubeにアップしている各公演のダイジェスト動画も結構見ている。アルバムは自信作だったし、ツアーも最高だったからこそ、11月19日セミファイナルの札幌PENNY LANE 24のワンマン、埋めれなかったのは本当に悔しかった。何回言うのよって感じだけど、俺はこの街のバンドなのでいつまでも言う。ライブはバカほど最高だった、だからこそだ。ファイナルはリキッドルームでワンマン、THA BLUE HERBがいつもやるところだ。足が震えた、当たり前だがライブは最高だった。ビールが美味かった。




2020年、3枚目のアルバム『大切にしたいこと』をリリースして、ボイガルは初めての全国ワンマンツアーをやろうとしていた。そのツアーの初日が、旧KLUB COUNTER ACTIONだった。結果的にコロナでツアーは全て中止になり、その全箇所分のワンマン公演を札幌moleから無観客の生配信でやろうと切り替えた。13公演分。毎公演、そのライブハウスの看板をでっかいプラスチックダンボールに手書きで再現して、moleのステージに飾ってライブした。
んで、その配信ツアーでは本来初日だったカウンターのワンマンをファイナルにして、カウンターはカウンターからやろうとなった。10何年も前に人生で初めて入ったライブハウス、カウンターでワンマンやってますって言えるバンドになれるなんて、こんなに心強いワードない。

そんな初めてのカウンターでのワンマンは無観客だった。
無観客だったけど、みんなに「チケットを自由に作ってTwitterにあげてくれ。それを印刷して当日会場に持っていく」と言って、当日はそれらを印刷して壁に貼った。無観客だけど、確かにそこには色んな人の意思があった。

程なくして、カウンターアクションはあの場所での25年の歴史に幕を閉じた。

それから3年の時が経ち、今年の4月にKLUB COUNTER ACTIONが場所を変えて新たにオープンするという報せが届いた。そんなの嬉しすぎだ。待ってた。「ボイガルぜひやってよ」とカウンターの洋平さんが言ってくれて、せっかくだしカウンターだしと思って色々考えて、最終的に“ワンマンで”となった。


それが、一昨日6月11日の日曜日の、【TBG attACK】というワンマン。
来てくれる人にお願いしたことは、ただ一つ。“ボイガル以外のアーティストのグッズで来てください”というもの。
これからもライブハウスにたくさんのアーティストが来ますように。
それぞれの場所でそれぞれの出会い方で好きになったアーティストに胸を張れるように。
というか、胸を張っていいんだなって再認識するきっかけになるように。
好きな服で好きなように音楽を楽しむ自分を好きになれるように。
戦い続けてきたライブハウスを、こっち側からも守れるように。
あとは普通に、絶対おもしろいだろうなと思って。

そんな気持ちを込めて、そんなドレスコードを設けてみた。

ボイガルにとってカウンターアクションでの2回目のワンマンライブは、初めての有観客でのワンマンになり、そんな新生カウンターアクションでの札幌のバンドの初のワンマンがボイガルになり、更には初めての札幌のバンドのソールドアウト公演がボイガルになった。そして、最後の一撃が、そこにいる180人が誰1人としてボイガルのグッズを身につけていないというものになった。これが伝説じゃなかったら、何が伝説だってんだ。俺たちは歴史の1ページをカウンターでつくったのだ。胸を張ろう。


3年前に勝手に作った看板を持ってきて、壁にかけた。
SLANGのKOさんが「これ、なんだ?」と聞いてきてくれたから、「3年前の配信の時に勝手に作ったやつです」と言うと、「そんなこともあったな」と笑っていた。


とにかくバカほど暑くて最高だったこと、地震に対してもみんながちゃんと聞いてくれたこと、初めてボイガル見にきたって人が楽しそうにしてくれていたこと、道外からもたくさんの人が来てくれていたこと、イヤーマフをしたキッズが最後に声をあげたこと、智也さんが自分のグッズで来てくれていてそして死ぬほど酒を飲んでいたこと、ボイガルも出演する8月の恵庭のフェス『OR DOOR 2023』のチームのみんながチケット買ってきてくれたこと、誰か転がってきたと思ったらユウタだったこと、しかも飛ぶの下手すぎだしやるなら周りのこともっとちゃんと見て考えてやれよせめてお前はって思ったこと、みんな大丈夫か!?って前方の子猫ちゃんたちに聞いたら「うんうん!」頷いてたこと、でも絶対内心「この人なんなの!?知らないけど絶対太ったじゃん!」ってみんな思ってるだろうなって俺が思ったこと、あとパッと見ユウタは多分太ったこと、でもその後にやった曲が『階段に座って』だったから俺はやっぱりあいつのことを嫌いになれないなということ、色んな曲でみんながバラバラに腕をあげたり歌ったりしていたこと、その声や光景に何度も涙が出そうになったこと、途中でふと“誰もボイガル着てないの全然意味わかんねえな”って思ったこと、ライブは行けませんがと連絡をくれていたジャスティスがアンコールの最後でフロアでめちゃくちゃ楽しそうにしてることに気づいて最後の曲の途中でステージに上げてカズマと2人でギターを弾いていたこと、そしたらまた人が転がってきて誰かと思ったらジャスティスのバンド・SNAP PUNCH MOMENTのベースのイッペイちゃんだったこと、イッペイちゃんはこのカウンターの施工に塗装とかで色々関わってるの聞いてたから転がってる彼を見て泣きそうになったこと、ユウタに比べて転がってくるのも戻ってくのも上手かったこと、多分みんな「さっきの人より慣れてるな」と感じていたこと、でもユウタはあのままでいいこと、楽屋にきたでかまるのけんごがアホだったこと、智也さんが何故かずっと残っていたこと、終わったあとカウンターでずっと飲んで洋平さんやKOさんと色んな話をしてグッときたり爆笑したりでヘロヘロになったこと


全部、嬉しかったし、ドキドキしました。


みんなが書いてくれた『自分が身につけてきたアーティストの紙』を見て、ちゃんと聞いたことないかもなってアーティストは、サブスクとかYouTubeで調べた。この二日間でほぼ聴けたかな、すごい気持ちになった。本当にありがとうございます、大切なものが増えました。




9月からの全国ツアー、最高なものにしますので、どうかよろしくお願いします。

ファイナルは11月10日、札幌PENNY LANE 24で、ワンマンです。








コメント

  1. ボイガルに出会えて良かった。ライブに行っても、行けなくてもいつもそう思っていますが、今回あらためて強くそう思いました。私はオリジナルメンバーの頃のボイガルのことはほとんど知りません。シンゴさんが1人になってもバンドを続けてくれたから出会うことが出来ました。THE BOYS&GIRLSを続けてきてくれて本当にありがとうございます。これからも応援させて下さい。

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    1. 返信遅れちゃいました。いつでも気軽に見たり聞いたりしてくれたら嬉しいです。頑張ります!

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  2. 3年間くらい?ずっとマスク生活だったから人前でマスク外すのが恥ずかしかったりするんですけど、この日は何も気にせずでっかい口開けて大熱唱。拳も自然とあがっちゃうし体も勝手にリズム刻んじゃうし本当に爆暑で最高な1日でした!友達と行けて良かったです!その友達は帰りに11/10のファイナルのチケットを買ってました。また一緒に行きます!嬉しい!新しい友達もできて。遠方だからなかなか会えないけど、「またライブで会おうね!」って約束できたのが、もう、最高!!!
    日常に戻って、嫌なことも怖いこともたくさんあるけど、なんとか頑張れそうです。
    秋のツアー楽しみにしてます!
    お身体には気をつけて、!

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    1. 返信遅れちゃいました。日常は続きますが、なんとか上手いことやっていきましょう!11月お待ちしています!

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  3. 出会ったことのない夜でした。始まる前から緊張と高揚で震えが止まらず、人生で一番長い30分間でした。自分はボイガルのことが大好きなんだと思っていましたが、自分が思っていた以上に自分はボイガルのことが大好きで、音楽が大好きなんだと気付いた夜でもありました。ほんとうに最高のバンドです。叫びたいです。ツアーいきます。

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    1. 返信遅れちゃいました。そしてめちゃくちゃ嬉しい言葉、やってよかったです。叫ぼう。

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  4. 仕事で本当に苦しい日々が続いていて、そんな中で遠征予定であるこのライブがありました。
    ライブ中仕事のことを考えたくはなかったのですが、無意識的に考えてしまっている中で、ボイガルの歌詞と自分の心境が合ってるところがあり、いつの間にかボロボロと泣いてしまいました。
    こんな素敵なライブを見せてくれて本当にありがとうございました。
    次ライブを見るときはシンゴさんのように、強く、かっこいい人間に近づいてるように今できることを頑張ります。
    1歩踏み出してみようと思う勇気をくれて本当にありがとうございました!

    これからもボイガルのライブを沢山見に行きます。
    この先も色んな気持ちを知る事が出来るライブが見れること心の底から楽しみにしています!

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    1. 返信遅れちゃいました。こちらこそありがとうございます、あなたのような方に届く音楽が、僕のやりたい音楽のような気がします。またいつでもきてくださいね!

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