大人に負けない眼差しの彼方

いてもたってもいられないので、この気持ちを文字にすべく飛び込んだ喫茶店にて今あったことをダーッとブログに残す。携帯の電池は残り18%、打ち終わるのが早いか、充電が切れるのが早いか。どっちかな。



16日から20日までの東京5日間を終え、ついさっき、15時半くらいに札幌に帰ってきた。部屋について荷物をおろして、猫を撫でてご飯とお水を入れ替えてトイレの処理をして、ポスターを持って16時前に家を出た。

今月から始まった全国ツアー「FALL TIME BEST」のポスターを貼ってくれるところをTwitterで募集していて、それを見て「貼れます!」とメールを送ってくれた方と連絡をとっていた。今日の16時半に約束をしていたので、少し早歩きで向かった。



「正門まで来てください!」

と最後のメールに書いてあったので、正門に向かう。今日の約束の相手は、高校生。
「先生の許可も取れてます!」と事前のやりとりで確認していたので、うれしかった。


正門に着くと、メールを送ってくれた女の子とお友達が2人で駆け寄ってきて、初めましてと挨拶。その子はThe FloorのTシャツを着ていた。

するとその子が「シンゴさん、すみません。」と言う。

「ポスター、最初貼れるって聞いてたんですけど、色々話していると、どうやら校長先生にちゃんと許可とれないとダメみたいでした。校長先生までは許可取れてなくて…すみません」

と教えてくれた。
いいんだよ、謝ることなんてないよ。もう十分嬉しいよ、ありがとう。心の底からそう思った。


彼女は「でも」と言って、こう続ける。

「私たち、みんなから名前集めたんです!どうしても貼りたいから力になれるならなりたいから、こんなに応援してるんだってことを伝えたいから何になるかわからないけど、名前集めたんです!で、今校長先生会議中らしくて、それ終わるの待ってます。終わったらその署名たち持って、直談判してこようかと思ってます!!…だけど、貼れないかもしれないから…そのときはすみません…。」

と言う。


胸がギュッてなって、
奥歯のもっと奥の方が軋んで、
喉が詰まるのがわかった。

一瞬で色んなことが頭をめぐって、でも、声にならなくて、僕は「ありがとうほんとに。大丈夫だよ、ありがとう」みたいなことしか最初言えなかった。






自分が高校生の頃、何かを変えたいとか何かをしたいとかこんなことをしてみたいとか、色々思っていたことはあっても、中々行動に移すことはできなかったように思う。いつも「でもどうせ無理だろうな」みたいな気持ちがまとわりついていた。

でも高3の頃、ラグビー部が花園に出場したとき、いつも学校でふざけ合ってるあいつらが大舞台でぶつかり合ってボールを運んでる姿を見た時は勇気をもらったし、やすはるがトライを決めた時は、「次はシンゴだよ」と背中を押してもらったような気持ちになった。
あの背番号8が、今も目に焼きついている。




そんなことが頭をよぎりながら、「署名を集めて校長先生のところに行ってくる」と言った彼女らを見て、本当に胸がいっぱいになった。

少し話して、「もし貼れなくても大丈夫だから。なんかわかったら、またメールください、ありがとう」と伝えた。彼女らは「はい。わざわざ来ていただいたのにすみません、ありがとうございます」と言った。
僕は角を曲がって、次の場所へ向かって歩き始めた。歩くたびに泣きそうになった。


すると後ろから、「シンゴさーーーん!!」と聞こえたので振り返った。角の向こうから、彼女らが僕を呼びながら走ってくる。人数が7人くらいに増えてる。「増えたな」と思いつつ、どうした?!と僕も駆け寄った。

すると「先生が謝りたいって言ってます!」と言う。どういうことだ。
とりあえずみんなで学校の方に戻ると、先生が1人来られて、「わざわざ来ていただいたのに、すみません」と学校としての方針や色々な気持ちなどを先生も話してくれた。簡単に言えば、現状ちょっと難しいということだった。

今まで教育の現場に出向くことは何度かあったので、超理解できる範疇で僕もすんなり納得できるようなこと。先生が謝ることでもなければ、みんなが謝ることでもないし、勿論校長先生も学校も悪くない。それよりなにより、こうやって、譲れない気持ちが先走って手や足や言葉が動くことは、人生において絶対大切なんだ。成功か失敗か、正解か不正解かは、その後にわかる。


増えた仲間たちが、
「25人くらい集めたんです!」
「先生、今回は私たちが勝手に始めたことなんです!」
「ていうか、やるだけやってみようよ!行くだけ行ってみよう!」

って言ってた。先生はそれを聞いて、
「だから、そういうことでもないのよ!」なんて言っていた。

いい先生と、いい生徒たち。
「ありがとう。先生もほんとにありがとうございます」と僕は伝えた。

みんなに「じゃあまたね」と言って、みんなは「ありがとうございましたー!」と僕に言って、別々の方向に別れた。






12年やって、僕がこのバンドでわかりやすく成し得たことなど何にもないかもしれないけれど、それでもこのバンドの活動が、こうしてあの頃の自分と同じように音楽が好きな子達に届き、そんな子達の「無理かもしれないけれど、でも」というひとつのキッカケになっていると思うと、これは、簡単に到達できることではないなとも思う。誇りです、ありがとう。


あ〜泣きそうだな〜と思い、ふたつ目の赤信号が変わるのを待っていると「シンゴ!!」と聞こえた。
見ると、運転席から顔出して手を振る男性。

「ん?」
と思って見てみると、やすはるだった。

え、そんなことある?

「シンゴー!!」と手を振るやすはる。
「やす!え、やすー!!」と手を振る僕。

やすはるは青信号だったので、ブーンと進んでいった。なんなんだよ、もう。そのせいでなんかまた泣きそうになった。そんなことあるかよ。さっきお前のこと思い出してたばっかだよ。


不思議な気持ちで、泣きそうなのか笑いたいのかわかんない表情で、青信号に変わった横断歩道を渡ろうとした。すると、斜め前に止まってるタクシーの運転手さんから、「お兄さん乗らないの?!」と怒られた。

やすはるに必死に手振ってて気づかなかったけど、どうやらそのせいでタクシーのおじさん、僕が乗るんだと思って止まってたらしい。

「あ、すいません乗らないです」というと、タクシーのおじさん「なんだよわかったよ〜!」とブーンとどこかへ消えてった。





THE BOYS&GIRLSというバンドを知ってくれて聴いてくれて見てくれて心の奥で傍においてくれてる方のおかげで、僕は本当にいろんなことを教えてもらってるんだなあということを、改めて再認識させてもらいました。



頑張ろう、楽しみながら気合い入れながら、穏やかな気持ちを大切にしながら。
昨日のサイン会で涙流しながら伝えてくれた人も、決意表明してくれた人も、足を運んでくれた人も、来れなかった人の気持ちも、こぼさないように大切にしながら。こぼれてるのにきづいたら、掬いながら。











と、ここまで打つのに50分くらいかかってるんですが、たった今あの子達からメールがきた。




「不快な思いをさせていたらすみません。明日また署名活動を行い、校長先生に直談判しに行きます。ポスター貼ってもらえるよう、全身全霊頑張ってきます。一生懸命頑張ります。」

と書いてある。
まったく、困った子達である。








僕になにができるだろうか。

勇気をもらってばかりだ。

コメント

  1. きっとその子たちは学校で教えてくれない大切なこと、その出来事でたくさん学んでると思う。大人になっても心の中でキラキラ残り続けます。絶対!
    だって私も高校生でボイガルと出会って学校で教えられてない事いっぱい教えてもらって、大人になった今も私の中で輝いてるもん。
    その子たち、すごい。

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  2. 取れたてホヤホヤのエピソード、教えてくれてありがとうございます!
    シンゴくんが素敵だから、周りには素敵な人たちが集まって来ますね☺️
    高校生も先生もシンゴくんも最高です!朝から涙涙です。。
    仕事に行ってきます🚗³₃

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