雨上がりと卒業式

20日。
晴れていた北海道を出て京都に向かった。京都に着くなり、どしゃ降り。予定通り。僕はこの日の京都に関してはどうしても雨が降っていてほしかった。というか、絶対雨降るって思ってた。

ロック大臣ズ、ベランパレード、コケちゃんとイベントは続く。コケちゃんのライブを少し見て外に出てみると、雨は上がっていた。雨の匂いが残る、雨上がりの京都。ここまで全部予定通り。僕らの出番の時に雨は上がっているというところまで、全部予定通りだ。

あとは、やるだけだった。

僕らの出番は最後で、持ち時間は40分。ただただひたすら駆け抜けてあっという間に終わり、ダブルアンコールまでもらった。ワンマンじゃない日にダブルアンコールをもらったのは初めてだった。本番で7曲、アンコール1曲、ダブルアンコール1曲。
フロアのお客さんの顔、対バン達の顔、PA卓から飛び出して腕を上げてる店長のモグラさん、主催の2人の目、全部が僕の予定通りだった。ライブに台本はないし、予定調和な日なんて一度もないけど、でもなんていうか、僕の予定通りだったのだ。
ダウジングというイベント名がついていたこの夜は、僕らもそうだけどお客さんもきっと何かと何かが反応している瞬間を確かに感じたはず。要はマインドの話なんだな、ほんとに。



21日。
大阪で、ディプロマサーキット2016というイベント。開催初年度から出演している僕らは4年連続4回目の出演だ。音楽系の専門学校の卒業制作イベントとして始まったこのイベント、年々よくなっていってるというよりかは、毎年いい。そんな感じ。
この学校はアーティスト専攻もあれば、PA(音響)や照明の専攻もあって、映像などの専攻もある。このディプロマサーキットが2年間の集大成かどうかは僕にはわからないけど、ただ彼らはきっと、この先どうなるかなんてわかんないけど2年間同じとこで共に学んできた仲間たちと、最後に一番キツいことやって卒業式迎えようとしてたんだと思う。

2012年の秋ころ、大阪のライブによく来てくれていて当時ESPの2年生だったなっちゃんという子に誘われて僕らは【ディプロマサーキット2013】に出演した。そんなことやるのかと、僕は絶対出たいなと思って、出演が決まった。会場はミノヤホールだった。受付には、とみまつという1年生の女の子がいた。

2013年の秋ころ、2年生になったとみまつからディプロマ2014のお誘いが来た。その時、「ていうか今年もやるんだ」って、めっちゃ嬉しかったな。そうして僕らは【ディプロマサーキット2014】に出演した。僕らの会場はVi-codeだった。んで、とみまつは別会場の担当になったため、辻ちゃん＆鎌倉ちゃんという2人に連絡は引き継がれ、彼女らと僕は当日まで連絡をとっていた。当日受付には、ハサミという1年生の男の子がいた。(僕にハサミを貸してくれたからハサミというあだ名をつけた)。

2014年秋ころ、2年生になったハサミからディプロマ2015のお誘いが来た。先輩に負けたくないんだなと思って嬉しくなった。そうして僕らは【ディプロマサーキット2015】に出演した。会場は一番大きいガーデンでトリ前だった。念願のガーデンだった。ハサミは別会場の担当になったため、奥田さんと楠原さんという方と当日まで連絡をとっていた。当日、北海道大荒れで飛行機4時間とか遅れて、ガーデンの出演時間に間に合わず。どうすることもできず、関空ついて奥田さん楠原さんだけじゃなく先生方とも連絡とりながら、ミノヤホールのトリのバンドが終わったからそこが空いたからそこでやりましょうとなり、ミノヤホールでやった。嬉しかった。会場つくとたくさんのお客さんが待っててくれた。楽屋など行かず、フロア横切って荷物全部持ったままステージへ。キャリーバッグも全部ステージの上、服もそのまま。ただひたすら30分のライブをした。最後全部楽器をおろしてフロアでやって片付けてるとき一人の女の子がドラムの機材を持ってきてくれた。なっちゃんだった。「ほんまにボイガルめんどくさいなあ」と笑っていた。

2015年の秋ころ、日高さんという方からディプロマ2016のお誘いが来た。日高さんも、2015の僕らのことを覚えてくれていたらしく、出てほしいって。そうして僕らは昨日【ディプロマサーキット2016】に出演した。会場は、ガーデン。去年できなかったとこだなあって。出番は、トリだった。「ディプロマの最後を、今年はボイガルが飾ってください」と書いてた。日高さんから、会場統括の池田さんという方に連絡は引き継がれ、池田さんと何度もやりとりした。昨日、会場入りして楽屋のある11階までエレベーターあがると一人スタッフの方がいて、その方が日高さんだった。一日中、楽屋とホール階を出演者の誘導したりなんだりしていた。日高さんだけじゃなかったけど。日高さんに、ライブ見てねと言うと、「ライブは見れないんです、でも頑張ってくださいね！」と返ってきた。そっか、仕事だもんな。んじゃ11階まで届かせると僕は返した。
転換のとき、ガーデンのステージに立ったとき、飲み込まれそうになった。こんなでかいのかとか、いい景色だなとか、そんなんじゃない何かに飲み込まれそうになった。でも目の前には、お客さんがいたし、大丈夫だった。

楽しませたい

って思った。転換で6曲、本番で7曲、アンコール1曲、ダブルアンコールで1曲。ダブルアンコールのときには随分減ったフロア。それでも最後までとにかく、楽しませたいって思った。ありがとう。
すべてが終わってステージ袖に退場した時、日高さんがいた。泣いてたのか笑ってたのかわからなかったけど、「見れたのか」と聞くと「はい、少しだけ」と言っていた。

色んな出演者たちが使った楽屋、僕は最後に出たんだけどその最後の最後まで彼女は動き回っていた。他のスタッフの子たちも。
お疲れさま、ありがとね。




夜は路上やった。












今日、新幹線に乗って東京にきた。
気づくと夜になっていた。
明日は新宿レッドクロスで、挫・人間とツーマン。

ここにもまた、物語があるんだからやめられない。